走りのスペシャリスト
「体力、技術は僕の中では上がってます」この一言に鈴木尚広の凄さが集約されてるのかなと感じた。脚力の衰えは早く訪れるという認識をしていたが、それは誤り、いや、彼が特別なのかなと。確かに存在感は歳を重ねるごとに増していた。原前監督無しに今の自分は存在しないと語っていた。原監督一次政権時に一軍で出始め、輝きを増したのは二次政権二年目からだった。
かつて柴田勲がつけていた12番に背番号を変え、確かその頃から今のクラシックスタイルとなった。そこから一軍に欠かせない戦力となり、翌年の後半はセンターのレギュラーを掴み、ゴールデングラブ賞を手にした。翌年もレギュラー、と思いきや若い選手が台頭して控えに回った。だが、ここからだった。代走の切り札の地位を確立してきたのは。もちろんスタメンで出られる能力はある。だが、原前監督は終盤に点を取りたい時に尚広を送りたい、という思いが強かったのだろう。そしてそれに彼は応えた、と。クラシックスタイルの彼が手袋をはめながらグランドに現れた時、ファンは待ってましたと大きな歓声を送った。それが近年の巨人戦では当たり前の光景となっていた。そして、近年の貧打が、彼の武器をより目立たせることとなった。脚で勝った、という試合が多く見られたのはそういうこと。去年初めてオールスターに選ばれた。終盤の代走と言えば鈴木尚広、と思われるようになったのではないか。
彼の走りで思い出すのは、二年前の神の手スライディングと、四年前にレフト前ヒットで一塁から三塁を陥れたもの。そして去年新潟では尚広の脚で勝ったんだよな。他にも思い出されることはでてくるだろう。
印象に残った打席は2008年の日本シリーズ三戦目。石井一久から3ランを放った。珍しく内野席で打席から近かったというのもあるが、ここでホームラン打つようになったか、と成長を感じたシーンだった。
試合を左右する場面に多くの準備をした選手。来年どうなるか分からないが、身体を使う準備をしなくても良くなる。どっと気が抜けるかもしれないが、二十年間走り続けたわけだから身体と心を休ませて欲しい。
大歓声が武器となった、という言葉は嬉しかった。この大歓声を作り上げたのは貴方自身です。次のステージでの活躍を信じます。二十年間、有難うございました。
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コメント
管理人さん、おはようございます。
鈴木選手、凄くファンを楽しませてくれましたよね。代走で出て、ワクワクさせる。かつて代走でこれだけ沸かせた選手は居ないと思います。
考えてみたら、野球は九回の長丁場。完投、完封にもドラマあり、数分間の代走でもファンを熱狂させる。やはりそこにあるのは、わかりやすさ。単純に見ててスカッとする。これがプロスポーツの醍醐味。そして運営する球団もわかりやすさが必要だと思います。日本ハムがドラフト指名で、その年の一番を指名するというわかりやすさ。こういう球団としてのメッセージが大事ですよ。スタッフの体制しかり、球団は、こうこうで来季はこうしますという。そういうのが巨人には無いんだよな。自然とファンが集まると今でも勘違いしてんじゃないんでしょうか?どう考えたって、残留はねーだろが。
投稿: ひーろーず | 2016年10月14日 (金) 09時14分
おはようございます。尚広ロスのとし吉です(笑)
ファンから見た尚広はTakaさんが書かれた通りです。真摯に野球に取り組んだことで、たくさんのチャンスを得られて、結果を出し、また信頼を得る、そしてファンを感動させ、また継続していく。
『自分に何が足りなくて、何が出来るのか』を突き詰めて、もがいて、成長する。
誰にでも出来ることではないですが、頑張れば誰にでも可能性があるんですよね。
多くのチームメートが背中を見てきたり、アドバイスを受けたはずです。マネは出来ないと言う選手もいます。マネは出来ないけれど、選手一人一人が自分に当てはめてみることは出来ますね。
おそらく今後も第二の鈴木尚広は見られません。若い選手にとってお手本はいなくなりますが、野球と自分に真摯に取り組み、まず第一のプロフェッショナルな自分を作ってもらいたいですね。
尚広コーチが帰ってくるその日まで。
それまで、私は『38』のユニを着る予定です。
投稿: とし吉 | 2016年10月14日 (金) 09時32分
ひーろーずさん
おはようございます。
ファンも終盤誰かが出塁すると、よし尚広の出番だ、と分かるのですよね。代走で登場曲が流れたのは彼だけでしょう。
来季はこうします、というのは分からなくもないのですが、その方向性がおや?と思うときは上手くいかないものですね。そう、どう考えてもないことをこのフロントは平気でやってきます。
とし吉さん
いつかは訪れることですが、いつもそこにいた選手がいなくなる、というのは分かっていながらも寂しいものです。
やはり尚広や坂本を見て感じるのは、伸びる選手は意識が高いものなのだなと。必ず成功する保証はありませんが、一軍で活躍するには欠かせないことですね。
第二の○○が出てこないか、と言われるぐらいの選手にこの後出てきてもらいたいですね。岡本の成長にも期待します。
投稿: Taka | 2016年10月14日 (金) 12時37分